「それはそうと話を戻すけど、この状況下では頼めるのは君しかいないんだ。人助けだと思って協力してくれないかな?」

すると、色々とかき乱されている私の心境なんて全く知る由もなく、男子生徒は真っ直ぐな眼差しをこちらに向けてくる。

先程もそうだったけど、垂れ目のくせに、たまに感じる目力の強さ。
この有無を言わさない威圧感は一体なんなのか。
私は戸惑いながら、彼の真剣な表情を見て口を閉ざしてしまう。

これだけ人にお願いされては、何だかとても断りづらい。
しかも、相手は幽霊もどき。

彼が言うように例え死んではいないにしろ、ここに彼の意識があるのなら、きっと相当何か未練が残っているのだと思う。

それを無下にするのは、流石に人としてどうかと……。




「…………………分かったわよ」


散々思い悩んだ結果、渋々私は首を縦に降った。

途端に、彼の表情はみるみる明るくなり始めていく。

「ありがとう」

そして、目を細めながらそう言うと、満面の笑みを見せられてしまい、その笑顔が本当に嬉しそうで、不覚にも私は一瞬だけ魅せられてしまう。