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——時刻はもうすぐ午後二時を過ぎる頃。


それまで私は交代で店番をしたり、同じ部活の子と一緒に校内を見て回ったり、夏帆の所に行って彼氏さんを紹介してもらったりと。

それなりに、満喫することが出来、再び店番の時間を迎えた私は受付の椅子に腰掛けて一息ついた。

時間も文化祭後半に差し掛かってきている為、お客さんは午前中よりも大分少なくなってきていて、何をする訳でもなく、私は呆然としながら入口の外を眺める。


……もし、相馬君がいたら、一緒に回りたかったなあ......。


……なんて。


そう思いを巡らすのは、これで何回目だろう。

実体の相馬君は入院中で、霊体の相馬君は夕方以降にしか現れない為、彼に一度も会えないこの時間が本当に退屈で仕方がない。

昨日は気まずいままで終わってしまった為、もし今日も現れてくれるのなら、是が非でも会いたい。

ストラップの事もそうだし、何よりも昨日の事を謝りたい。

それで、相馬君の意識が無事に戻った時はいっぱいお見舞いに行きたいし、退院出来たら会う機会は少ないかもしれないけど、たまに一緒に登校したりなんて……。

どんどんと膨らむ妄想に、鼓動が徐々に早くなっていく。

数日前まではこんな事を考えるなんて夢にも思っていなかった。それなのに、私はこの短期間で随分と相馬君の沼にハマってしまったんだなと、改めて実感させられる。



それよりも、このストラップいつ渡そう……。


私は右ポケットの膨らみにそっと触れると、昨日からここにずっと居続けている存在に、小さく肩を落とす。


期限の文化祭はとっくに後半を迎えてしまったし、これを瀬川さんに渡さないと一体何があるのか。どんなに思考を巡らせても全く検討もつかない。

この無惨なストラップをずっと持っているのも何だか嫌だし、もうそろそろ渡してもいい頃合いかも……。



それから私は暇な時間を一人で惚けたり、たまに来るお客さんの相手をしたりと。
そんなこんなで気付けば交代の時間を迎え、次の当番の子に引継ぎを終えると、足早に部室を抜け出し、瀬川さんの捜索にあたることにしたのだった。