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「……はあ、はあ」


屋上から我武者羅にここまで走ってきた為、呼吸が乱れ、小刻みに肩が揺れる。

それでも、溢れる涙は一向にとどまることを知らず、どんどんと零れ落ちていく。

私は何とか人目がない場所を探しだすと、体育館裏の階段に腰を下ろして、膝に顔を埋める。


本当に、私は何をしたかったのだろう。

今日という日がどんなに大事だったか、それを知った上でわざわざここまで来たというのに。

もうこんな別れ方をしてしまえば、後はそのまま明日を迎えるしかない。

結局、私は相馬君の力になるどころか、彼に余計な心配をかけさせただけだった。

こんなつもりじゃなかったのに。

こんな気まずいまま終わらせるつもりなんて、全くなかったのに。

最後に私の脳裏に焼き付いたのは、彼の悲しい顔。

この記憶のまま、彼は明日になれば消えてしまうのだろうか……。

相馬君の果たせなかったやるせない想いだけは、ずっと残ったままなのに……。