遥輝(はるき)そろそろ学校行きなさいよ。出席日数足りなくなるよ」
「わかってるけど、今日はいかない」
「”今日も”でしょ?もう……」
 出席日数はまだ少しだけ余裕がある。とはいえ、このまま学校をさぼり続けてもいいわけではないし、そんなことは自分が1番よくわかっている。
 それでも2週間前のあの出来事があった次の日、いつも愛莉と歩いた道を一人で歩くことはとてもつらかった。周囲の人から陰口を言われながら憐みの目を向けられるのはつらかった。愛莉の机の上にある花瓶を見るのはつらかった。
 何をするにも愛莉の顔が頭に浮かんでくるし、愛莉の声がそこに聞える気がした。
 そんなことがあってから俺は、家から出ることができなくなった。
 愛莉がいたらきっと、
「なにしてんの?早くしないとおいてくよ?」
 そう言って俺のことを起こしてくれて、くだらない話を聞かせてくれながら学校まで一緒に行ってくれて、それで、それで……。

 もう正直生きているのさえ苦しかった。このままいっそ、愛莉とおんなじところに行ってしまおうかと、何度も何度も頭にそんな考えがよぎった。
 でもそのたびに、愛莉の悲しそうな顔が思い浮かんで、死ぬことさえもできずにいた。

 そんな何もしない毎日を過ごしていた時だった。彼女からの、手紙が届いたのは。