「…あっ!紋白蝶よ、もう春なのね!」

 お見合いだろうが、客の前だろうがお構いなし。

 庭へ駆け出したら獣と化す。

 私は虫が好き。

 目が見える見えないなんて関係ない。

 標本だって沢山作って、見えなくてもどの虫か分かるくらい虫が好きなのに、誰も認めてくれない。

 そんなにいけないことなのかと、月の真下、庭をうろついていた。

 夜通し、ずっとだ。

 私の顔が爛れてしまった原因だから?

 高貴な娘は虫が好きではいけないの?

 父に何指を立てるかってずっと考えてる。

 どうしてやろうか。

 私は父が大嫌いなのだ。