未明の頃に……

 立ち上がると私を優しく包んでみせる。

 温かい体温、冷たい咲人の姿を思い出す。

 血まみれで何度も夢に出てくる彼は、泣いていた。

 胸の中で噛み殺してきた思いを全て吐くように泣いた。

 生まれ変わった彼に、全部、全部…

「ありがとう…ここに来てくれて…私今とても幸せよ…!」
「僕もです。もう、居なくなったりしない。約束です。この身全てを貴女に捧げますよ。愛してます、蝶花。」
「咲人……私も、愛してる…!」

 私はもう「現実を手放す」なんてことしない。そう誓った。

「お父様…帰ってきたんだね。」
「見ればわかるだろうが。運命か……」
「私達も『運命』だね!お兄ちゃん?」
「はぁ。黙れ、下郎。」

 運命なんて面倒なだけだ。

 彼女は俺らが悪魔の生まれ変わり、だなんて知らないだろう。

 自分の墓に行くのも、もう飽き飽きだ。

 程なくして、私と咲人は結婚した。

 とてもひっそりとした式を挙げ、今もこの古城に住んでいる。

 相変わらず私の顔は醜い。

 それがコンプレックスだった。

 でも、彼は違う。私はこの人を愛すと誓うのだ。

 この林檎色を瞳を追って。

「蝶花…?早くおいで?」
「お母様ってば、もう!!」
「全く……先に行きますよ?」

 皆が待っている。

 咲人…咲妃……蝶貴………

「今いくわ!」

 おーけー