未明の頃に……

 1度大きく息をすると、みるみるうちに体は冷えていった。

 彼の寝顔は今にも起きて、おはよう、と言ってくれそうなほど落ち着いている。

 気持ちの全てが込み上げてくる。

「うっ、ううっ、うっ、うっ、あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!」

 声が枯れるほどに声を上げた。

 敷地内に響き渡る魔力を纏った衝撃波は物体全てをなぎ倒した。

「蝶花!大丈夫か!」
「父様…!父様!うわあ”あ”あ”あ”ん!」

 敵軍は全滅、父の声に絆された私は気が済むまで泣いた。

 大好きだった、いや愛していたのだ。

 誰よりも高貴で優しくて私を好きだと言ってくれた彼を心から愛していたのだ。

 心底辛い、辛い痛い怖い…!

 大切な人を失うのはもう懲り懲りだ。

「父様!父様ぁぁ!」
「なんだ?蝶花。私はまだ用が」
「やだぁぁ!いなくならないでええ!やだぁぁぁぁぁ!!!」
「っ!!!もちろんだ、大丈夫だ。」

 父の死を拒絶した。

 母を亡くし、眷属を亡くし、恋人を亡くした。

 もう何も手放したくない。

 大嫌いなのに、ずっと生きてて欲しい。

 私は国軍が来るまでずっと泣き続けたのであった。