未明の頃に……

 私はひたすら大勢の気配から咲人を探した。

「咲人様…咲人様……」

 いない……いない……、焦りが滲み出る。

 きっと無事、そう思っているのに、怖いのは何故?

 1つ、匂いを見つけた。

 血と混ざりあった、立浪草の匂い……

「咲人様!」

 私は思いっきり手を払い、匂いの方へ走った。

 どんどん濃くなっていく血の匂い。

 進めば進むほど敵はいなかった。

「蝶……花…姫……」
「咲人……様!!」

 彼は胸から血を流し倒れていた。

 藤棚にもたれかかっている。

 周りの敵はクオンと咲人で全て捌いたらしい。

 早く止血しなければ、と思えば思うほど手が覚束無い(おぼつかない)

 早く、早くしないと……

「蝶花…姫……もう……大丈夫です……申し訳ありません……でも…もう痛くなくて……」

 手遅れだった。

 わかっていたけれど、死を拒絶したのは私だった。

「嫌だ…!そんな事言わないで…しっかりして……!」
「約束……守れなくて…すみません……あはは……馬鹿ですね……僕…」