「クソジジイ!質問に応えろってば!」
「っ!」

 1度間合いを取るために下がった。

 深呼吸した後、真実を口にした。

「蝶蘭様は…亡くなった!お前のせいだ!お前が蝶花姫を傷つけたから!蝶蘭様は!自ら命を絶たれた…!お前が眷属だったから!お前さえ居なければ!蝶蘭様は今も姫といられたのに!!!」

 俺は蝶蘭が好きだった。

 叶わぬ恋なのは分かっていた。

 相手はニンゲンで、人妻だったから。

 それでも彼女の傍に居れるだけで満足していた。

 それなのに、彼女は最期「愛してる」と遺して命を投げた。

「は…?」

 何も分かってない馬鹿の顔色が変わった。

「死んだってどうゆうことよ!聞いてないわ!それも…私のせいだなんて…言い分に程があるんじゃないの?!」
「真実だ!姫を傷つけたのも!責任を感じて彼女が亡くなったのも!お前のせいだ!」

 彼女は死んではいけない人だった。

 王室の出で、かつ絶世の美魔女と巷でも有名な姫だった。

 そんな人が藤城に嫁いだのは、当主との政略結婚だ。

 だが、その夫との娘、蝶花をこよなく愛していた。

 愛する娘との生活、もっといたかったはずだ。なのに…