僕たちが中庭に着いたころ、そこはもう焼け野原だった。

 味方軍の姿は見当たらない。当主様と藤城軍がなんとか食い止めてる、そんな状況だった。

「加勢しますよ!」
「あぁ!」

 腐っても王族。

 ましてや次男だったから、僕に与えられた選択は、騎士だけだった。

 そのため幼い頃から剣術をひたすら叩き込まれたものだ。

 まあ、それが嫌で離脱したのもあった。

 僕が女だったらもっと色んな人生があったのかもしれない、と肉を切り裂きながらふと思った。

 久しぶりにサーベルを振り回す。

 抜刀して2時間。

 周りの敵をある程度捌くと、ふぅ、と深呼吸した。

 生きて帰ると彼女と約束したのだ。

 初めて僕を必要としてくれた人、僕をニンゲンにしてくれた人。

 帰らなくちゃ……

「咲人!後ろ!」
「えっ……」
 なんて神様は残酷なのだろうか…

 気づけば胸に刃が刺さっていた。