俺はひたすらキレていた。

 こいつの言ってることが戯言にしか聞こえないから。

 ヘラヘラしている態度がボルテージを上げた。

「ミア…貴様の言ってることはほんとか?」
「なんの事?」
「全てだ。蝶蘭様に会いに来た、正気か?」
「正気よ!もちろん!だって私蝶蘭様大好きなんだもの!」

 こいつは蝶蘭が自分のせいで死んだことを知らない。

 それより前に追放されたからだ。それが癪に障ったのだろう。

 敵国を味方につけて襲ってくるなんて……

「っ……」
「ねぇ、早く会わせてよ。どこにいるの?」
「蝶蘭様……は……」

『ムウ…!』
『!!申し訳』
『貴方のせいじゃないわ…ムウ…ごめんなさいね…蝶花を任せるわ。』
『えっ……蝶蘭様…!』
『ムウ?』

 愛してくれて、ありがとう。

 頬を涙が伝うその一瞬、記憶が起こされた。

 そのままの勢いで足に力を入れ、斬撃を繰り出す。

 刃はミアの胸を大きく割った。

「っ!あぁ!もう!容赦しないから!」
「来い!蝶蘭様の仇め!」