「あまりにつまらなくてな。」
「つまらない?貴方相手を探しに来てるんじゃないの?」
「そのはずだが、僕は結婚したいなんて1つも思ってない。」

 あら、との如く洋扇で口元を隠し、哀れみの目で見た。

 随分大人びた少女だな、と不思議に思う反面少々イラッとした。

 だが、嫌だとは思わなかった。

「私と同じね。私も来たくないのよ。だから、今度から来ないわ、面倒なだけだもの。」
「……どうするんだ?無理やり来させられてるのだろう?」
「脱走すればいいだけよ、ふふ。」

 そして子供っぽいのに妖々しい。

 もう人生何周もしてるような、そんな不思議な雰囲気を肌で感じた。

「そ、そうだな…」
「ふふ、なんだか貴方とは気が合いそう。もっと話してたいけど…時間ね。」

 針は23時を指していた。

 どうやら帰ってしまうようだ。

 これで終わりだなんて、なんだかとても嫌だった。

 もう、会えない気がして。