この国では12から結婚ができる。

 にも関わらず15になっても結婚しようとしない僕は、親族にかなり呆れられていた。

 結果的に仮面舞踏会に行かされることになった。

 この国の仮面舞踏会は貴族らのお見合いの場だ。

 毎月第2・第4土曜日に仮面舞踏会はあった。

 僕としては退屈で苦痛で仕方なかった。

 僕が変わったのは、仮面舞踏会に初めて行ってから半年経ったことだ。

 酒や香水の匂いに酔い、夜風に当たっている時だった。

「何しているの?」
「わぁっ!」

 声をかけられたのだ、でもかけられるまで存在に気づかなかった。

 紫と金が配われたベネチアンマスクをつけ、上等なドレスを着こなす少女だった。

 だか、歳は若そうで12、3だろうと見た。

 巻いた白色、左横だけ藤色の髪が月に照らされ輝いて見えた。