思い通り話は長くなった。

 もう日が傾き始めていた。

 そろそろ戻らないと、心配をかけてしまうかもしれない。

 そう思ったのもつかの間。

 風がかけた後、姫が姿を現した。

 ムウを探しに来たのだろう。

「姫?どうした?」
「ムウ!あのね咲人様がいらっしゃらないの。屋敷のどこにも居なくて…」

 驚いた、彼女は僕を探していたようだ。

「姫、僕はここにいますよ。無断での外出、申し訳ありません。ご心配をかけたようで。」
「咲人様…!良かった…ううん、無事ならいいのよ。」

 安堵の声とともに胸に収まった。

 驚きの連続で心拍数が上がった。

 らしくないのは分かっているが、頭に手を添えてみると彼女は少し嬉しそうな顔をした。

 少し心を許してくれた気がして僕も嬉しかった。