当時の俺は別に悪さをすることもなく、ただのうのうと過ごしていただけだった。

 時に死んだ人の魂が回収して、あとはこの森でのんびりする。

 それが俺だった。

 ある時、市で林檎を買った。

 その林檎が美味しくて、衝動で林檎の木を買った。

 それを開けた森の中央に植えた。

 悪魔になって丁度100年の日の事だ。

 基本悪魔は飲まず食わずでも生きていけるが、冬林檎がなった時だけ食事するようになった。

 毎年大きくなる林檎の木、1度に生る実も多くなっていた。

 いつしか俺1人で食べきれなくなるほどに大きくなった。

 だから余ってしまった林檎を町の皆に配ったのだ。

 良くしてもらっていた町だったから、恩返しのつもりだった。