僕は笑顔を浮かべて見守っていた。

 見守っていた?

 いや、違うな。

 どんな笑顔でも欲しいだけだ。

 誰にもいい顔されなかったから。

 ニンゲンでありたかった。

 城の亡霊でいたくなかった。

 僕は望まれた子じゃなかったから。

 笑顔を返して欲しい、それだけだった。

 側室の男児、王の第2子、皆が望んだのは女の子だったのにな。

 特に何も求められず、弱音を吐いても相槌ばかりで。

 それを求めている訳ではないのに。

 つまらなかった。