「そうだったのですね。それは...申し訳ありません?」
「大丈夫です。こちらこそ、...あ、アン。」
「姫ぇ、大丈夫ですか?」
この揚羽蝶の化身はアンというらしい。
中に入るなり、姫と同い年頃の女子へと変身した。
あとの2人も続いて変身する。
蜘蛛は小学生程度の小柄な男児に、百足は長身の30代程の男性になった。
「クオンと、ムウまで珍しいじゃない。」
「姫が、気になってな。」
随分従順なら眷属たちだ。
眷属にも意思があるから、ここまで主至上主義になることは少ない。
僕もいつしかは眷属がいたが、幾度となく解消してきた。
「そんなに心配してくれたのね。ありがとう、ムウ。」
「......」
元気ならいい、と窓から飛び降り下を見ても姿はなかった。
無口な眷属で何よりだ。