つい、1週間前の話だ。

「父様、僕王室を抜けようと思います。」
「!!何を言う、何か嫌なことでもあったのか?何故だ?」
「特に何かあったという訳ではありませんが、ここに居ると少し不都合なことが起きてしまったので。兄さんも安定してますし、許可をください。」
「その…不都合とはなんだ?聞かせてくれ。」

 このおっさん、プライベートにも踏み込んでくるのかよ、と心底嫌気が差した。

「彼女の元へ行くだけです。それ以上は黙秘致します。それでは。」

 僕は部屋を出た。
「…お前も行ってしまうのか………蝶蘭(ちょうらん)…」

 半ば強制的に離脱してきてしまったが、大丈夫だろうか。

 きっと、もう僕がここにいるのは耳には入っているだろうな。

 兄が次期国王をやってくれる。

 なら僕もそれなりの役目をしなくてはいけない。

 まぁ、それは二の次で本来の目的は別にあるのだけれど。

 そんなことを思ってここまで来た。