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めがさめた。
次の日の朝。出発の朝。

私は珍しくリカに起こされる前に起きた。
なんか嫌な感じがしてゾクっとした。

いやに静かな感じ。
動いているものの気配がしない感じ。

私が起きたらリカが必ず気づく。センサーが入ってるから。
でもリカは来ない。どうして?

私はリビングに出てみた。リカはいない。
まだ充電中?今何時だ?そんな早くない。もう終わってるはずなんだけど…。

私は充電部屋に入った。一応、リカの部屋。
リカはそこにいた。でも椅子に座ったままリカは動かない。充電中の文字がどこにも表示されてないし、機械の動く音も聞こえない。

リカは、動かない。


なんで?どうして?壊れた?今日なの?直してもらえる?出発までに間に合う?いや多分間に合わない。
じゃあどうするの?連れて行かない?そんなことできない。だって彼女は私の唯一の家族。

リカに近づく。リカの手には一枚の封筒。「朝日へ」

いやだ。直感的に感じた。いやだ。何が起きたのかはよくわからないにしろ、間違いなく私の望ましくないことが起きているのは分かった。

恐る恐る手紙をリカの手から抜き取った。
封を、切った。

『 朝日へ

突然で多分びっくりしていると思う。言わなくてごめんね。
これは私のわがまま。最期に見る朝日の顔が泣き顔なんて嫌だったの。

私は地球を朝日と一緒に出られないんだ。荷物になるし、人間を乗せるだけで詰め詰めだし、電力の消費も激しいから宇宙船のエネルギー不足になる。だから私は宇宙船に乗れないんだ。

今夜、私は私を作った会社から強制システム終了されちゃうの。内緒で持っていく人がいないように、ね。

ごめんね朝日。ずっと一緒にいられなくて。
でもきっと朝日は一人でも大丈夫だよ。私は大丈夫だと信じてる。

朝日と過ごした時間、とっても楽しかったよ。
今まで本当に、ありがとう。

                         リカより。

P.S.お守り入れておいたから、持っててくれたら嬉しいな。   』


涙も声も、驚きと強すぎる悲しみに引っ込んでいた。

ごめんねじゃないよ。なんで言ってくれなかったの。
なんで一緒に行けないの。ねえ。

私と笑っていたリカは、この世にもういない。
システム終了されたら、AIのデータは全て消えてしまう。

リカは、いない。
ああ、私は今、一人だ。

私の心はその結論に至った。
そして一筋、私の頬に涙が伝った。