ビュゥ------------------
風が吹いて、揺れたとき。
「飛奈?」
私、鈴川飛奈の、
名前を呼ぶ1人の男の子。
心の中では、〝気づいて欲しい〟
そう、思っていたのに........................
いざ、その時が来てみれば。
〝振り返らないで、〟と思ってしまう。
そんな、私の──────わがまま。
「綺麗な花だな。飛奈かと思った、」
私を見つめながら言う、その言葉に。
思わず...........................
〝そうだよ、私だよ〟って。
念じて声を送りたくなる衝動に駆られた。