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それから、1時間後。
私と音季くんは、
何を思ったのか、河原に散歩に出かけた。
静かな河原を2人で歩いていたそのとき。
「う、わぁぁぁぁぁん!助けてぇーー!」
そんな声が、どこからか聞こえてきた。
「ちょっ、音季くん、あそこっ!!」
私がそう言いながら指差した先は、
河原の下を、流れる緩やかな川。
溺れているのは、小さな子供。
「っ、くそ、緋色、1分前に戻して、」
私の名前を呼んで、
切迫詰まったような、音季くんの声が聞こえてきた。
大丈夫、私は願ったから.....................
音季くんの手を──────ギュッと握ると。
「音季くん、私には力はないよ。
助けられるのは、きっと音季くんだよ」
そう伝えた私。