そんな音季くんの力がなくなる............っ。
そう、想像もしたことがなかったから。
世の中に、命を落とす人が、
増えたりしちゃうんじゃないか?って。
凄く、怖くなる...........................
そう思って、気づけば震える体。
でも..............................
「緋色」
音季くんは、そう優しく呼んで。
私を──────ギュッと抱きしめた。
「.........っ、ぅ、音季、くん、」
その優しく温かい、
温もりに、自然と涙が溢れ出た。
「俺の、力は譲ることの出来る力なんだ。
だから、今度は緋色が沢山の人を助けて」
私の頭をポンポンッと、
撫でながらそう言う音季くん。
その瞬間、ストンッと、
何かが私の体の中に入ってきた感覚がして。