「緋色」



私、美崎緋色(みさきひいろ)の、名前を優しく呼ぶのは。



幼なじみの男の子、
綾瀬音季(あやせとき)くん。



私と同じ高校2年生だけど、
彼は、音季くんは、少し特殊だ。



音季くんには、
──────不思議な力があるから。



「音季、くん、どうしたの?」



いつになく、
寂しそうな目をした音季くんに問いかける。



すると、音季くんは..............................



「驚かないで聞いて欲しい」



凄く落ち着いた顔で、言葉を落とした。



「うん。なに、音季くん?」



あまりにも、落ち着いた顔だから、
まさか、重大なことなんて思いもしなかった。