(苦手だよ。テスト範囲も広すぎてどこを勉強すればいいかわからないしさぁ)


つい、愚痴っぽくなってしまう。
司にはあまり聞かせたくない話だったので、途中で口をつぐんだ。


(それなら僕が教えてあげようか?)

「え?」


予想外の展開に思わず声が漏れた。
慌てて周囲を見回して、誰も私のことを気にしていないことを確認する。
私はフェンスに体重を任せて片足をフラフラと宙に浮かせる。


(いいの?)

(もちろん。今度は本じゃなくて勉強道具を持っておいで)


それなら教えてもらおうかな。
司と一緒なら大変なテスト勉強も楽しくなりそうだ。