「私も同じ」


作品を読むより先に作者の詳細を知りたくなってしまう。
そして、そこで紹介されている作品があればまた買いたくなる。


「僕のオススメはこれ」


枕の下から取り出されたのは歴史小説だった。
あまり自分では選ばないジャンルの本で、心が踊るのを感じる。


「歴史ものだけど文章は現代だし、ギャク系の小説だから読みやすいよ」

「歴史ものでギャクなの?」

「うん。歴史ものが苦手な人には特にオススメ」


そう言われてつい自分の社会の成績を思い出して落胆してしまう。
歴史小説好きなら、もう少しまともな成績を収めることができていたかもしれない。


「読み終わったらまたここへ来てよ。感想を言い合って、次の本を紹介するんだ」

「もちろん、いいよ」


ただ、私がオススメしたファンタジー小説はあまりにもページ数が多いから、何週間かかかってしまうかもしれない。
次もあるとわかっていればもう少し量のないものを選んだのに。

家に帰ってから私はさっそく司にオススメされた歴史小説を読み始めた。
正直最初は歴史ものをちゃんと最後まで読むことができるかどうか心配していたけれど、司が言っていた通りその本はとても読みやすい文章になっていた。