公園内で遊んでいる小さな子どもたちと親たちの姿は見えるけれど、距離が離れているので今みたいな小さなつぶやきが聞こえてくるとは思えない。


「誰?」


思わず声に出して聞く。
しかし、返事はない。
今の声は、若い男性のものだったみたいだけれど……。

そう思ってもう1度周囲を確認するけれど、やはり該当思想な人物はいなかった。
私は首をかしげて歩き出す。
と、すぐにスマホが鳴り始めてスカートのポケットから取り出した。


《母親:牛乳が切れたから買ってきて! あと、卵も!》


そんなメッセージを読んで大きく息を吐き出す。
近くのスーパーによるためには家を通りすぎないといけない。

この酷暑の中遠回りしなければならないのは正直面倒だ。
一瞬、メッセージを見ていないことにしようかと考えたけれど、画面にはすでに既読の文字がついている。

家に戻ったとしても、どうせまた外へ出されるだけだ。
私は渋々重たい足を引きずるようにしてスーパーまでの道を歩くのだった。