告白されたことでどうしても意識してしまうのだけれど、それが恋心なのかどうかわからない。
こうして司と一緒にいるときに剛のことを思い出すようなことはないし、もしかしたら自分が意識しすぎているだけなのかもしれない。


「そっか。それはちょっと……よかったかも」

「え?」


予想外の言葉に思わず聞き返す。
司はうつむいているけれど、その顔が笑っているのがわかった。


「好きかどうかわらからない相手と付き合うのは、相手に対しても失礼だと思ったんだ」


顔を上げて説明する司はもう、真剣な表情に戻っている。


「うん、そうだね」


司の反応にほんの少しでも期待をしてしまって心臓がドキドキしている。
それをたしなめて頷いた。


「剛のことは好きだけど、恋愛感情かどうかって聞かれたら、よくわからないんだよね」


高校に入学してから同じクラスになったけれど、告白されるまで意識したことはなかった。
それはただのクラスメートとしてしか見ていなかったからに違いない。


「そうなんだね。無理に付き合う必要はないと思うよ」


今日の司はやけに断る方向へ持っていきたそうに見えるのは、私の勘違いだろうか。
でも、司の言っていることは理解できる。

剛と付き合うのであれば、剛のことをちゃんと好きになってからだ。
それに、剛と付き合うことになったら、こうして司と会うことはもう叶わなくなってしまうかもしれない。