「あら、ありがとう」


叔母さんは嬉しそうに頬を染めて微笑む。
玄関先で初めて会ったときから思っていたけれど、この人はまるで少女のような反応を見せる人だ。

見た目とのギャップはあるものの、濃いサングラスの下でくしゅくしゅに目が細められている様子が想像できた。


「こうして自宅で人にお菓子を振る舞うことなんて滅多にないから、また遊びに来てね」


私は口の中のクッキーを飲み込んで「もちろんです」と、頷いた。
その答えに安心したように微笑んで部屋を出ていく女性。


「優しい人だね」

「そう言ってもらえると僕も嬉しいよ」


叔母さんを褒められて司は少し照れたみたいだ。
紅茶を飲むふりをして視線をそらされてしまった。


「ところで」


少し落ち着いたところで司が話を切り出した。


「なに?」

「告白の返事はどうしたのかと思って」

「あぁ……実はまだなんだよね」


剛に関してはまだ悩んでいる。