勉強に関する本もあればマンガや小説も沢山持っているみたいだ。


「死んだ両親が遺産を残してくれたんだ」

「そうなんだ」


両親はどうして死んでしまったんだろう。
気になったけれど、これは聞いてはいけないことだ。

もっとふたりの関係が深くなって、自然と会話の中に上がるようになるまでは。
そう考えて、自分が司との関係をずっと続けていきたいと思っていることに気がついた。


「今では叔母さんが僕の親代わり」

「そういえば、司の叔母さんってどうして黒づくめなの？」


これはおそらく聞いてもいいことだ。
司本人のことではないし、叔母さんは今日もそういう格好をしているから、興味を持ったとしても不思議じゃない。


「皮膚が弱いから太陽から身を守ってるんだよ。今の時期はとくに肌荒れするから、なるべく外に出ないようにしてるんだけどね。家の中にいても窓から太陽光や紫外線が差し込んでくるから、ずっとあんな格好なんだ」


わかってみればなんでもないことだ。
そう言えば小学校時代に同じように肌が弱い子がいたことを思い出す。

その子は年中日傘を差していたし、長袖を手放せないでいた。
それでも日差しが強い日なんかに外に出ると皮膚がはだれてとても痛そうだったのだ。


「そういうことだったんだ」