司が自分以外の誰ともつながっていないことに安堵してうなづく。


(そうなのかもしれないね。相性、いいのかも)


自分で言っておいて今のは誤解を招く発言だったかもしれないと気になった。
けれど、司は特に気にした様子もない。


(今日はもう学校は終わりなんだ。これから先は暇)


ちょっとした嘘をついた。
司がどう出るか、試してみたかったのもある。


(そっか。帰るの?)

(どうしようか、悩んでる)


そう伝えると沈黙が訪れた。
風はそよそよと吹き続けて、私達の声を届けてくれる。
だけどずっと外にいるからさすがに熱くなってきた。

木陰といえど、今は7月だ。
こびれ日に照らされた二の腕が少し赤くなってきている。

このまま長時間ここに座っていたら、確実に日焼けしてしまうだろう。


(……安納高校って言ったよね)

(うん)

(そこから僕の家、それほど遠くないんだ)


司の言葉の一言一言が胸の奥で跳ねているみたいだ。
私はずるい。
沈黙することで、自分の言わせたいことを相手に言わせようとしている。


(そうなんだ。どこらへんなの?)