(あぁ。無理をしなければ家にいることができるんだ。だから今は家でオンラインで勉強してる)

(そっか。偉いね!)


自分がずっと家にいると考えると、きっと勉強なんてしなくてずっとマンガを読んでいるだろう。
その姿が安易に想像できてまた笑ってしまいそうになった。


(本当なら高校生だからね。少しでも勉強したくて)


やっぱり、偉い人なんだ。
私は両親にお金を払ってもらって希望の高校に入学したのに、早見は勉強以外の場所にある。


(そういえば私達、自己紹介してなかったよね。知ってるのは性別と、年齢だけ)


性別は言わなくても声でわかってくれているはずだ。


(そういえばそうだね。自己紹介、する?)

(うん!)


私はもう躊躇なく返事をしていた。
他の誰かと彼がつながって親密になってしまうよりも、ずっといい。


(私は高橋美保。安納高校の1年生だよ)

(安納高校か。結構近いね)


その言葉に私の胸は踊る。
彼の家からも近いということでいいはずだ。


(僕の名前は天野司。さっき言った通りオンラインで勉強してる。ゆくゆくは家でできる仕事を探すつもりだよ)


天野司……。