それから早足で公園付近まで来て立ち止った。


(こんな時間に声が聞こえてくるなんてビックリした)


私の呼びかけにハッキリとした返事があったのだ。
公園に近づくにつれてノイズ音のような人の声が聞こえてきて、今はっきりと彼の声になった。

やっぱり、ここが分岐点みたいだ。
私はまず彼と繋がれたことにホッと溜息を吐き出した。

そしてゆっくりと公園内へ足をすすめる。
時間が時間だけに、公園の中には誰もいなかった。

木製のベンチにゆったりと座り、カバンからお弁当箱を取り出して膝の上で開く。
ここまで早足でやってきたから、さすがにお腹が減っている。

まわりの民家からは昼時のいい匂いが換気扇から漏れ出してきていた。
まずはお茶を一口飲んで一息つく。

ジットリと滲んできていて汗が、冷たいお茶で引いていくのがわかる。
ベンチが木陰になっていてよかった。


(私、今からお昼ごはんなの。いつもあなたと会話できる公園のベンチで)

(そっか。今は外にいるんだね。学校は終わったの?)


その質問には答えなかった、
早退したと言えば気にしそうだったから。

私は彼と他愛のない雑談をしながらお弁当のおかずに手をのばす。