言いながら剛から視線をそらせた。
別にやましいことをしているわけでもないのに、なんだか目を合わせていられない。

胸の中にモヤモヤとした感情が湧き上がってくるのは、告白の返事を待ってもらっているせいかもしれない。


「そっか、気をつけてな」

「うん、ありがとう」


そう言って剛の横を通り過ぎる。
私は最後まで剛の目を真正面から見ることができなかったのだった。

小走りに校門を抜けて公園までの道を急ぐ。
昼間は車通りも歩く人の姿も少なくて、なんだか別の街にいるような雰囲気だ。


(ねぇ、聞こえる?)


公園はまだまだ見えないが、声をかけてみる。
彼からの返事はない。


(ねぇ、聞こえたら返事をして?)


更に進んで、また声をかける。
それでも返事はない。

後方を振り返るとまだ学校の校門が見えている。
このくらいの場所からじゃ声はつながらないみたいだ。