剛の問題は自分次第だけれど、声の方は自分の力ではどうしようもできない。
そもそも、彼がどこの誰なのかもわからないままなのだ。

わかっているのは私と同じ16歳で、ずっと1人でいること。
それだけで探し出すのは至難の業だ。

そうこうしている間にいつの間にか剛と孝明が登校してきていた。
いつものように隣り合った自分たちの席に座り、雑談している。

剛は時々こちらを気にして視線をよこしてきていたようだけれど、それにも気が付かなかった。
やがてホームルーム開始のチャイムが鳴り始めて、私は自分の席へと向かったのだった。