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学校内の剛はいつも通りの態度だった。
まるで昨日のことなんてなかったかのように振る舞っている。

孝明とはずっと柔道について話をしているし、授業中でも時々居眠りをしているし。
そんな孝明をずっと見つめている自分に気がついて、咄嗟に視線をそらす。

相手を観察しようと思っていたわけじゃなくて、なんだか自然と目が行ってしまうのだ。
そしてそんな自分に気がついて慌ててしまう。

そんなことを繰り返しているうつに会っという間に放課後になっていた。
私はまたのろのろと帰宅準備をして、今日は誰にも引き止められることなく校舎を出た。

頭の中は剛のことばかりで、もしかしてこれは本当に恋なのかもしれないと感じ始める。
相手からの告白から始まる恋もあるらしい。

まさか自分がそれに当てはまることになるなんて、思ってもいなかったけれど。


(今日も学校帰り?)

(うん。そうだよ)


私は昨日と同じように公園のフェンスにもたれかかって返事をする。
はたから見ればただ休憩しているだけに見えるはずだ。


(お疲れ様)

(本当に、疲れたよ~!)


剛のおかげで授業の半分も身に入らなかったし。