私は別に剛のことを好きだったわけじゃない。
それなのに、どうしてこんなにも意識してしまうんだろう。

心臓はまるで自分のものじゃないみたいに、ドキドキしているし、剛の顔を正面から見ることもできない。
これじゃまるで私が剛に恋をしているみたいだ。

告白をされることで相手を意識してしまうというのは知識としてあったけれど、まさか、これほどまでとは……。
自分の心の変化について行けず、窓の外へ視線を向ける。

今日も太陽は容赦なく照りつけて、私達の肌を焼く。
けれど、風の声のあのひとは今日もやっぱり家にいるんだろうか。

空調の効いた部屋で1人、なにをしてるんだろう。
ぼんやりと考えていると、私の心臓はようやくいつもの調子に戻っていったのだった。