《美保:わかってるよ》


すぐに返事をくれと言われても、私には無理だ。
簡単に人の告白を無下にしたくないし、告白されてからどんどん意識し始めることだってあると聞く。
そんな難しい問題すぐに解けるはずがなかった。


《剛:うん。じゃあ、おやすみ》

《美保:おやすみ》


剛とのやり取りを終えてホッと胸をなでおろす。
このままずっとメッセージが続いていったらどうしようと、少しだけ心配していたのだ。

けれど剛はちゃんと引き際を心得ているし、人が困っていると助け舟を出してくれる。
自分の気持を押し付けて困らせてくるようなこともない。


「いい人なんだよなぁ」


私は小さくつぶやいてベッドにダイブする。
もしかしたら剛と付き合えば楽しい学生生活になるのかもしれない。

剛はフットワークも軽そうだし、色々な場所に連れて行ってくれるかもしれない。
そんなふうに考え出したとき、なぜか脳裏に浮かんできたのは、風に乗って聞こえてきたあの切ない声だったのだ……。