仮に魔女がひとり暮らしだとすれば、仕事はどうしているのか?
どこからお金を調達してきているのか?

すべてが謎に包まれていた。
最も、今は外に出なくても仕事ができるから、仕事内容に関して私はそれほど深く気にしたことはなかった。
家の中で仕事をして、買い物だけ外に出ているというのは決して珍しいことじゃない。

だけど、年がら年中長袖で黒い服を着ている。
という点はやっぱり不思議に感じる対象だった。
冬はともかく、今年みたいな酷暑にはどうするつもりだろうと思ってしまう。


「魔女ってマジで年齢わかんないよな。俺たちよりもずっと上で、もう何百年もあの屋敷で暮らしてるって噂だよな」


孝明が面白がって定番の噂を持ち出す。
魔女は顔が見えない。

背丈やしぐさ、服の上からわかる体のラインなどでどうやら女性らしいということはわかるけれど、それ以外のすべてが謎に包まれている。
年齢がわからない魔女のような見た目の女性。

その想像に尾ひれがついて、年齢不詳、不老不死などと言われることもあった。


「何千年も生きててもおかしくないよな。誰とも仲良くしようとしないらしいし」


剛の言葉に舞子が首をかしげた。