☆☆☆

夕飯を食べ終えて寝る時間になっても、なかなか根付くことができなかった。


(誰か、僕と会話して。1人は寂しい)


昼間聞いたあの声が何度も何度も頭の中で思い出されて鳴り続けている感じがする。
男の子の声は最初本当に泣き出してしまいそうに切ない声色をしていた。
だから、そのときの声を忘れることができないのだ。

会話をしている間にどんどん声のトーンは変わって行ったけれど、男の子の心は最初のあの声色にあると思っている。
寝付けないまま夜中の1時が過ぎて私は一度トイレに立った。

リビングも寝室もすでに電気が消えて家の中はとても静かだ。
足音を立てて両親を起こしてしまわないように気をつけて階段を上がり、自室へ戻る。

ドアをしめてベッドへ戻ろうとしたとき、ふと白いカーテンが敷かれている窓に視線をやった。
カーテンを開けて外の景色を見つめると、空に星々が出ているのがわかる。


「わぁ、綺麗」


自分の部屋から星がよく見えることは知っていたけれど、改めて見てみると本当に綺麗に見ることができる。
この辺りでは珍しく、周りに高い建物がないからだった。

ふと、この景色を他の誰かと共有したいという気持ちになった。
写真を撮って送るとかそういうことではなくて、今繋がりたいと。