いつものように１人で教室を出て昇降口へ向かう。
その間に吹奏楽部のチューニング音が聞こえてきて、今日も元気に活動しているなぁとぼんやり考えながら階段を降りる。

グラウンドでウォーミングアップしている生徒た横目に見て校門を抜け、いつもよりもゆっくりとした足取りで歩いていく。
耳鼻科は公園を抜けた反対側にある。

近道は当然公園を突っ切ることになるのだけれど、今日も放課後の子どもたちで賑わっていそうだから少し遠回りになっても公園の周りをグルッと回って行く方がいいかもしれない。

いつもよりゆっくり歩いてきたと思っていたけれど、公園に到着した時刻は昨日と対して変わりがなかった。
公園の中には思ったとおり子供たちが遊んでいて、自分がベンチに座って休憩するような雰囲気でもない。

さて、どうしようか……。
考えて立ち止ったとき、ふいに風が吹いてきた。

爽やかなで心地のいい風だ。
思わず目を閉じてその心地よさに体を委ねたときだった。


（誰か、僕と会話して。１人は寂しい）