「え?」

「私が、本当の母親だってことを」

「話すんですか?」


驚いて聞き返す。
司はまた大きなショックを受けるんじゃないだろうか。
心に負担がかからないか、少し心配だ。


「これだけの友達ができたんだもの。悩んだとしても誰かに相談することができるわ」

「そうですね……」


みんなの顔には笑顔が浮かんでいる。
司、退院おめでとう!
司くん、はじめまして!
司、司、司……。

少なくても今はみんな司のことを思ってここに来てくれている。


「いつまでも内緒にはしておけないしね」


私は頷く。
それは叔母さんにとってどれほどの覚悟だったろうか。

自身も体の弱い叔母さんが決死の覚悟を決めた瞬間だった。


「きっとうまくいくと思います。だけど、なにかあったらすぐに連絡ください」

「あらあら、ありがとう。美保ちゃんったら頼もしいんだから」


叔母さんはいつもの調子に戻り、口元に手を当ててホホホとお上品な笑い声を上げたのだった。