「うん。僕だけを置いてみんなで楽しんでるなんて、悔しいなって思ったんだ。今まで屋敷で1人ぼっちだった僕が、こんなことを思うなんて変かもしれないけど」


私は左右に首を振る。
全然、変なんかじゃない。

みんなが楽しく騒いでいるのを見れば、誰だって興味が湧いてくる。


「そうしたら急速に目が覚めたんだ。暗い水の奥底から浮上していくような感覚だった」

「現実は、どう?」

聞くと司がこちらへ視線を向けた。
そして私の頬に軽くキスを落とす。


「うん。悪くない」