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A組の教室へ入ると、司と孝明の机はなくなっている。
ふたりとも、あの後すぐに学校をやめていった。
先生たちはなにがあったのか伏せていたけれど、大抵の生徒たちがすでに事実を知っていた。
ただ、放火未遂で逮捕されることはなかったようで、今はどこかで静かに暮らしているらしい。
由奈はあいかわらず私に敵意を向けているけれど、イジメのようなことはもう一切行われなかった。
出来事が出来事だっただけに、みんな由奈を遠巻きに見つめるようになり、いつの間にか由奈の取り巻き立ちはひとりもいなくなっていた。
それでも強気な表情を崩さないのはきっと由奈のプライドがそうしているんだろう。
「今日も声は聞こえなかった?」
「うん。ダメだった」
舞子には、毎朝司に話し掛けていることを伝えている。
けれど今のところ司からの返事はない。
私と司が風の声部の活動をしていたときには司はずっと屋敷にいた。
もしかしたら、病院にいるときには声が飛ばないのかもしれない。
公園と屋敷が結んだ不思議なテレパシーだ。
「今日も病院へ行くの?」
「行くよ」
「私も行っていい?」
「舞子、部活は?」
A組の教室へ入ると、司と孝明の机はなくなっている。
ふたりとも、あの後すぐに学校をやめていった。
先生たちはなにがあったのか伏せていたけれど、大抵の生徒たちがすでに事実を知っていた。
ただ、放火未遂で逮捕されることはなかったようで、今はどこかで静かに暮らしているらしい。
由奈はあいかわらず私に敵意を向けているけれど、イジメのようなことはもう一切行われなかった。
出来事が出来事だっただけに、みんな由奈を遠巻きに見つめるようになり、いつの間にか由奈の取り巻き立ちはひとりもいなくなっていた。
それでも強気な表情を崩さないのはきっと由奈のプライドがそうしているんだろう。
「今日も声は聞こえなかった?」
「うん。ダメだった」
舞子には、毎朝司に話し掛けていることを伝えている。
けれど今のところ司からの返事はない。
私と司が風の声部の活動をしていたときには司はずっと屋敷にいた。
もしかしたら、病院にいるときには声が飛ばないのかもしれない。
公園と屋敷が結んだ不思議なテレパシーだ。
「今日も病院へ行くの?」
「行くよ」
「私も行っていい?」
「舞子、部活は?」