オレンジ色の花は太陽によく似ていて、白い部屋を明るくしている。
「舞子、紹介するね。彼氏の天野司だよ」
「はじめまして。美保の友達の石原舞子です」
ベッド脇に立ち、舞子が丁寧に頭を下げて自己紹介する。
それでも司は固く目を閉じて、声を聞いているのかどうかわからない。
なんの反応も見せない司に舞子はまた泣きそうな表情を浮かべた。
初対面相手にそんな風に泣きそうになるなんて、本当は優しい子なんだ。
それから私と舞子は司に話しかけるように今日の出来事を話し始めた。
悲しいことや困ったことはなるべく話さず、楽しい話題が中心だった。
「それでね、先生ったら教材を全部忘れて教室に来ちゃってさぁ」
「そうそう! だから授業が5分くらい遅れてラッキーだったよね」
何気ない会話で笑い合い、病室内がにぎやかになる。
そんなときはこころなしか司の頬も緩んでいるような気がするから、不思議だ。
やがて窓の外がオレンジ色に染まる。
できればずっとここにとどまっていたいけれど、 私達には帰らないといけない場所がある。
「じゃあ、また明日来るね」
目を閉じている司は返事をしない。
「舞子、紹介するね。彼氏の天野司だよ」
「はじめまして。美保の友達の石原舞子です」
ベッド脇に立ち、舞子が丁寧に頭を下げて自己紹介する。
それでも司は固く目を閉じて、声を聞いているのかどうかわからない。
なんの反応も見せない司に舞子はまた泣きそうな表情を浮かべた。
初対面相手にそんな風に泣きそうになるなんて、本当は優しい子なんだ。
それから私と舞子は司に話しかけるように今日の出来事を話し始めた。
悲しいことや困ったことはなるべく話さず、楽しい話題が中心だった。
「それでね、先生ったら教材を全部忘れて教室に来ちゃってさぁ」
「そうそう! だから授業が5分くらい遅れてラッキーだったよね」
何気ない会話で笑い合い、病室内がにぎやかになる。
そんなときはこころなしか司の頬も緩んでいるような気がするから、不思議だ。
やがて窓の外がオレンジ色に染まる。
できればずっとここにとどまっていたいけれど、 私達には帰らないといけない場所がある。
「じゃあ、また明日来るね」
目を閉じている司は返事をしない。