「それ、美保っぽいね」


舞子はようやく笑顔をみせてくれた。


「そうかな?」

「そうだよ。それで、その部活で距離が縮まったの?」

「うん。そうだね」


初めて司の家にお邪魔した日。
屋敷から魔女と呼ばれる人が出てきたときには本当に驚いた。

屋敷の中に入ることを躊躇したけれど、司に会いたい気持ちのほうが強かった。
そして叔母さんの病気を知り、その格好にも納得して、とびきり美味しいお菓子職人だということもわかった。


「ね? わかってみればどうってことないことだったの」

「本当だね」


舞子は何度も頷いてくれる。
まだまだ自分たちの中には差別や偏見がはびこっている。

そのほんの一握りでもいいから、相手に寄り添い、話を聞いてなくしていけたらいいな。
それから司と付き合い初めて、でもなかなか人には言えなくて。


「花火大会の日、断ってごめんね」

「ううん。司くんと一緒だったの?」


私は頷く。