「私も、お見舞いに行っていいかな」


それは放課後のことだった。
これから司のお見舞いへ向かおうとしていたところ、教室で舞子が声をかけてきた。
こうして対峙して会話をするのは本当に久しぶりのことだった。


「舞子……」

「美保、ごめんね。私、由奈から美保に彼氏ができたって聞いって、どうして自分には教えてくれなかったんだろうと思って、それが許せなくて」


ぽつぽつと自分の心境を説明する舞子。
こうしてお互いにちゃんと話し合っていれば、今回ほど問題が大きくなることもなかったのかもしれない。


「由奈から言われたの『友達だと思っていたのは舞子の方だけだったんだね』って。あの時その言葉を鵜呑みにしちゃった。美保から直接そんな風に言われたわけでもないのに」


肩を震わせて涙を流す舞子の肩に手を置く。


「私もごめん。本当は舞子に一番に話さなきゃいけないことだったよね。でも、彼との出会いはちょっと不思議だったから、なかなか言いだせなかったの」

「不思議?」

「うん。風に乗って声が聞こえてくるって相談してたよね?」


私達は久しぶりに肩を並べて教室を出る。
グラウンドからは部活動に励む学生たちの爽やかなな声が聞こえてくる。

そうだ、部活動に入ったことも舞子に言わなきゃいけない。


「風の声部っていう名前をつけたの」