「あんたがやってることはただの逆恨み。とんでもなくダサイこと! その上女子のリーダーまで使って人をイジメるなんて、卑劣すぎ!」


一瞬由奈がなにか言いたそうに席を立ったが、そのまま近づいてくることはなかった。


「私はあんたなんかに屈しない。あんたの言いなりになんてならない!」

「俺は……ただ、好きな子と一緒にいたかった」


剛がポツリと呟いて、由奈が呆れたような溜息を吐き出す。


「無理矢理にでも一緒にいれば、俺は幸せになれると思ってた」

「それじゃ相手の気持ちまでは手に入れられない。あんたは結局、誰にも選ばれないような方法で、誰かから愛されようと必死になってただけ」


剛が黙り込む。
そのすきを見計らったようにどこからか「なんだよ。好きだからイジメてただけかよ」と、声が聞こえてきた。


「ダッサ」

「小学生かよ」


クスクスと、クラス内に広がって行く笑い声。
剛をさげすむ言葉の数々。

私は拳を握りしめて「笑うな!!」と叫んだ。
また、教室内が水を打ったように静まり返る。


「お前らはわけもわからないままに私をイジメてたくせに! 笑っていたくせに!」


腹の底から怒りを爆発させる。