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翌日学校へ行くと、A組の教室内は不気味な静けさが漂っていた。
噂が流れるのが早いクラスだ。

昨日の出来事はきっともうみんな知っているんだろう。
由奈は私と視線がぶつかると睨みつけてきたものの、すぐに視線をそらせてしまった。

他のみんなからも、今までとは違って腫れ物を見るような目で私を見つめてくる。
私はそんな視線をなぎ倒すようにして大股に歩き、そして剛の前で立ち止った。

剛が雑誌から視線をあげて私を見る。
その顔は無表情だ。

剛のやったことはまだ警察にはバレていないようだけれど、バレのるは時間の問題だ。
屋敷にはガソリンの入っていたタンクもライターも残されている。

もしかしたら、今日が最後の通学日になるかもしれない。
だから、ハッキリさせておきたかった。


「あんたがやってることは最低。司が魅力的なんじゃない。あんたが最低だから好きな子に選ばれないだけだよ」


私の声だけがA組に聞こえてくる。
みんな、かたずを飲んでそれを見守っていた。