「そう……なんですか?」


出会ってからの司にそんな素振りは少しもなくて、少し驚く。
だけど思い返してみれば、司は手首を着ることにあまりに抵抗がなかったように感じられる。


「そうよ。美保ちゃんと出会ってからそういうこともなくなって、安定してたんだけどね」


叔母さんは缶コーヒーを手のひらの中で転がして、飲もうとはしない。


「でも、結局こんなことになっちゃって。情けないわよね」

「そんなことないです。私が悪いんです!」

「美保ちゃんも、自分を責めないで。事情はちゃんと聞いたんだから」


司がここへ運ばれてきてから、私は叔母さんにも学校での出来事、そして今日の出来事もふくめて説明していた。
剛が長年司のことを恨んでいたことも。

だからといって、家を燃やしてしまえなんて、あまりにひどいけれど。


「きっと私も悪かったのよ。肌の弱さに関して人に話したことはなかったし。誰かに話していれば魔女と呼ばれることもなかったし、司だって奇異な目で見られることはなかったんだと思うわ」