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「あれぇ？　なんで今日は昼になって帰らないの？」


みんなと同じように教室でお弁当を食べ始めた私に由奈がわざとらしく聞いてくる。


「午後からは屋敷の彼氏のところに行ってたんじゃなかったのぉ？」

私は黙って食事を続ける。
せっかくの美味しいお弁当も、由奈のせいでなんの味もしなくなってしまう。


「さっさと早退しろよ！」


無視し続けている私に由奈が後ろから椅子を蹴る。
その振動で体がガタンッと揺れる。

だけどそれだけじゃなく、私の体は小刻みに震えていた。
次はなにを言われるのか、なにをされるのか、想像するのも恐ろしくて。


「聞いてんの？　お前、魔女の息子の彼女なんだろ？」


由奈がガンガンと椅子の背もたれを蹴りつけてくる。
ここで立ち上がったら危ないので、逃げることもできずにジッとうつむいて我慢する。


「まぁ、お似合いだけどね？」


由奈がケラケラと声を上げて笑うと、とりまきたちも同じように笑い始める。
みんな一緒だ。

顔も、体も、声も、なにもかも。
いつしか私の目にはそう見えるようになっていた。